皆さんはカレーが好きですか?好きですよね?
カレーと聞くとインドのイメージが強いと思いますが、日本でカレーライスが広く愛されるようになるにはいくつかのステップが隠れています。
さくらまちの自由研究として、今回はカレーがインド、イギリス、日本と旅をし、どのように日本で広まったかをご紹介します。
【インドのイメージ】
インドと聞くと、「カレー」の他に「サフラン」や「インダス川」などを思い浮かべるのではないでしょうか?それぞれの雑学をご紹介します。
・インド :正式名称はBhārat Gaṇarājya(バーラタ共和国)
⇒古代インドの叙事詩も『マハーバーラタ』
インド憲法前文では「主権社会主義世俗的民主共和国」と定義される
・カレー :今回のテーマ!詳しくは後のお楽しみです!
・サフラン:香辛料・香料・薬、また染料(オレンジっぽい)として利用される
カレーのライスとして知られる黄色がかったサフランライスいいですよね!
⇒インド国旗のオレンジ色はサフラン色である
・インダス川:サンスクリット語の「shindhu(川)」が由来
⇒ペルシア語で「Hindu」(ヒンドゥー教の語源)
⇒ギリシャ語で「Indos」(国名の由来)
・ガンジス川:川の女神の名「ガンガー」が由来
【日本へのカレー粉の伝来】
インドにいわゆる「ルーカレー」(カレーの素が調合済みのもの)というものは存在しなかった。
インドのスパイスを自分で調合するカレーが一般的であったが、イギリスでカレーを簡単に食べられるように調合式カレーが発明された
雑学)「カレールー」の「ルー」は固形、粉状の「カレーの素」を指す
15、16c.大航海時代:香辛料と共にスパイス調合式のカレーが欧州に伝来
18c.イギリスでルーカレーが発明される
19c.日本の明治維新!イギリスのルーカレーが伝来!
⇒明治政府に日本の近代化にっぴったりだと受け入れられた
〈日本に受け入れられた要素〉
・スプーンで食べる
・味付けが日本に無いスパイス
・肉を使う
・日本の近くにある食材で作れることができる
・アジアというよりかは西洋っぽい!
→インドからではなく、イギリスから伝来したことが利点の一つになったとも考えられる
【イギリスにおいてのカレー不人気】
※ルーカレーはイギリスのクロス・アンド・ブラックウェル社(B&C社)で発明されたと考えられる。
森枝さん(2015)がB&C社にカレールー発明時の資料を請求したが、その時の担当者はルー発明のこと自体知らなかった!
(参考)【楽天市場】CROSSE&BLACKWELL(クロス&ブラックウェル) 純カレーパウダー 400g:プロフーズ (rakuten.co.jp)
→固形ルーではなく、調合式に近いパウダー系のルーである
(考えられる理由)
理由1.世界の中心だから
雑学)世界地図の中心である本初子午線は英グリニッジ天文台を通る
貿易・文化の中心もイギリスであるがゆえに、世界中の料理の中でカレーに特別にスポットが当たることが少なかったのではないか?
理由2.節約しないといけなかったから
18~19cのイギリスは対立の時代
・アメリカ独立戦争(1775~1783)
・フランスとの戦争
⇒イギリスは痩せ地でもともと野菜の収穫量が少ない
18cの急激な都市人口の増加(戦争景気、産業革命)もあり、贅沢ができなかったのではないか?
【カレーの国内普及】
エスビー食品の創業者「山崎峯次郎」の日本人好みのカレー粉発明
17歳で上京し、ソース屋で働く(ルーカレーとの出会い)
1923年に『比賀志屋』を創業→SBの前身
⇒日本カレー振興会を設立し、日本のカレー王となる
(戦争の影響)
「美味しくて、安くて、栄養豊富で、いい匂いで食欲が増して
簡単に、しかも一度に大量に作れて、美味しい料理が発明されただって!」
①日本軍に注文を受けて、峯次郎はカレー粉を大量に提供する
②戦後、兵士が各家庭にカレーを伝え、カレーが国民食になった
【まとめ】
以上のように、インドの調合式カレーが、大航海時代以降にイギリスで簡単に調理できるようにルーカレーが開発された。その後、ルーカレーは西洋食として食の西洋化を狙う日本に伝来し、戦争をきっかけに日本で広く愛されるようになった。
ぜひとも本場の調合式カレーを味わってみたいものです。
【参考資料】
『カレーライスと日本人』(2015)森枝卓士
『カレーライスの誕生』(2013)小菅桂子
『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』(2000)井上宏生