さくらまちの本拠地である広島の地質的特徴についてまとめました。
著作権の問題で図などを十分に載せられていないので、気になった部分はご自身でぜひ深堀してみてください!
【広島県の基本データ】
県庁所在地:広島県広島市中区基町10‐52
県の花:モミジ
県の鳥:アビ(地方名:へいけどり、へいけだおし)
県の魚:カキ
県の花・木:モミジ
県の石:広島花崗岩(岩石)、蝋石(鉱物)、アツガキ(化石)
(参考)
広島県HP 「広島県のシンボル」 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/19/kids-02.html
日本地質学会 「県の石」:中国 http://www.geosociety.jp/name/content0143.html
廿日市全域を覆う、広島県の約40%を占める濃いピンクの部分:花崗岩
濃いピンクに次いで広く、約30%分布する地域の薄いピンクの部分:流紋岩
⇒花崗岩も流紋岩も火成岩の一種であり、成分はほぼ同等である
冷え固まる時間の違いから流紋岩は火山岩、花崗岩は深成岩と分類される
※流紋岩も深成岩であるとする考え方もある
広島市の市街地に多い水色部分(うすい橙):完新世の堆積物(埋立地・干拓地)
⇒広島県の地質の特徴として、花崗岩が広く分布することが挙げられる
【花崗岩について】
「granite(花崗岩)」は、現在の地質学における「狭義の花崗岩」と花崗岩に類する組織を持った深成岩の総称としての「広義の花崗岩」を指す2つの使い方がある。
※後者を「granitoid(花崗岩類)」と表すこともある
花崗岩は風化すると砂のように脆い土である「真砂土(まさつち、まさど)」になる
花崗岩には縦横均等に節理という割れ目があり、節理に雨水などが侵入すると内部からも風化が進む。
⇒自然の花崗岩は水に弱い
宮島での土砂災害の被害拡大の一原因とも考えられる。
花崗岩は御影石とも呼ばれ、墓石などに利用される
風化していない部分をコアストーンという
節理の間隔が大きいものはコアストーンも大きくなる
→直径数メートルの岩塊になることもある
→コアストーンは比較的風化に強い
(参考)花崗岩(かこうがん, granite) – 岩石鉱物詳解図鑑 planetscope (planet-scope.info)
節理は石目と言われ、石目によって加工しやすい石とみなされる
【花崗岩のつくる景観】
国の天然記念物:久井・矢野の岩塊(1964)
「久井町吉田の岩海は宇根山(標高698.8m)山塊の南側の山腹(標高480~570m)にある。傾斜の緩い3条の谷間に沿い,花こう閃緑岩の巨大な岩礫が長く帯状に連続累積し実に見事である。これは,塊状の基盤が気温変化などのため,その節理やヒビにそって剥離・破砕され,風化の進展とともに土壌化した部分は流れ去り,岩礫化したものが残ったものである。」(ごうろとも呼ばれる)
広島県教育委員会HP:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/bunkazai/bunkazai-data-106140110.html
【花崗岩のつくるお酒】
日本の地質はミネラルの少ない火成岩質で、急斜面でミネラル分が染み出る時間が少ない
広島の地質は軟水のできる代表的な地質である(→石灰岩だと硬水ができやすい)
→くせが無く、料理に使いやすい軟水であるが、酒造りには向いていないと言われた
⇒東広島市の三浦仙三郎が「軟水醸造法」(1897)を開発
西条は硬水の伏見・灘と「三大銘醸地」とされ、「灘の男酒、西条の女酒」と評される
【広島の水害と花崗岩】
広島県は港として栄えたが、平野が少なく埋立地が多い
特に広島市街は多くの河川に囲まれており、水害が多い
海岸部の埋め立てと同様に山を切り開いて宅地を開発することも多かった
山に近い急傾斜地崩壊危険箇所は全国で最も多い
→水害が多くなるような土地開発をしたとも言える側面もある
地質の面から考えると、花崗岩には2つの災害に対する弱さがある
①真砂土が雨に簡単に流される「表層崩壊」が起きやすい
②コアストーンが土石流に混じり、被害が大きくなる
【宮島の地形に影響する花崗岩】
一説には、元々宮島は大きなひとつの花崗岩であったと言われる
宮島の谷は、北西から南東と北東から南西の2方向に谷が形成されている
この方向は宮島の花崗岩の節理の方向と一致する
(参考)広島県鳥瞰図:https://www.asocie.jp/oldmap/hiroshima/37008.html
【参考文献】
『地図で楽しむすごい広島』(2019)都道府県研究会、洋泉社
『広島のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話』(2020)ガリバープロダクツ、昭文社
自分の住んでいる広島県を地質以外にも、様々な角度で深く知れる本でした。
写真が多くて読みやすく、廿日市中央図書館で借りられるのでぜひご一読ください!