中国思想史を学ぶ上で避けては通れない諸子百家について、簡単にまとめました。
ご自身の好きな思想を見つけてみてください!
【諸子百家の時代】
中国戦国期を中心とする時代に活躍した思想家やその組織を指す言葉
※「百家」は数の多さを表し、100人や100学派の意味ではない
中国の戦国時代は「戦国の七雄」がひしめき、中国世界全体が混乱していた時代
各国の名家が混乱の時代を乗り切るための方策を求め、精神の面でも切磋琢磨していたことから数多くの学者が活躍した「百家争鳴」の時代となった
〈諸子百家の学派分類〉
司馬談の分類:陰陽家・儒家・墨家・名家・法家・道家
班固の分類 :司馬談の挙げた6家+縦横家・雑家・農家・小説家
(『漢書』において、10の学派に189の学者が紹介される)
※現代では法家が含まれることが多い
⇒この中でも儒家と墨家のみが学派と呼ばれるに相応しい組織体系があったと推測される
【11流派の説明】
①儒家:論語で有名な孔子が創始した
「性善説」の孟子や「性悪説」の荀子も有名
「仁徳」を尊重する精神主義な面と、「礼」に重きをおく形式主義の面がある
⇒漢の武帝の時に国教となり、日本にも大きな影響を及ぼす
②道家:老子や荘子の思想が有名
神仙思想が加わり、後年には道教として民衆に広がった
儒教を否定し、自然のままを至上とする「無為自然」を説く
③法家:荀子の弟子である韓非子が有名
儒家の徳治主義を否定し、法治主義を説いた
中国を初めて統一した始皇帝の秦は法治主義であった⇒焚書坑儒
④農家:許行が有名
人類全員が第一次産業に従事する皆農主義を説き、自らも農耕を実践する
⇒似たような学説として、江戸時代中期の安藤昌益が「万人直耕」を説く
⑤陰陽家:鄒衍が創始した、日本の陰陽道に通じる
世界の真理として、陰陽と五行(水、火、金、土、木)を組み合わせた
⑥名家:恵施や公孫龍が有名、論理学を研究し、詭弁を巧みに使用した
「太陽が真上にあるときは既に傾いている」、「白馬は馬に非ず」などが有名
⑦墨家:墨子が開祖であり、墨子は儒家に学んだとも考えられる
墨子は儒家を否定し、兼愛・節用・非楽などを説く
「非攻」を主張し、墨家の集団は各国の町を防衛した(「墨守」という語の由来)
⑧縦横家:大国である秦との付き合い方を説いた
蘇秦「合従策」:6カ国が協力し、秦を倒そう
張儀「連衡策」:秦が6カ国と個別に同盟を結び、6カ国の連携を崩そう
⑨雑家:様々な学派の考え方を兼ねる人(その他のように扱われる場合もある)
『四庫全書』では書物が少ない墨家・名家・縦横家をすべて雑家に分類した
⑩小説家:学説に体系をもたず、故事などを語り伝え、書物にして残した
民俗学のような領域を網羅する。「小説」は「大説」の対義語である。
⑪兵家:孫子が有名、戦略戦術を説いた兵書を研究する
太公望が書いたと言われる『六韜三略』も有名
第2巻の「虎韜」は「虎の巻」の語源でもあり、源義経が陰陽術師の鬼一法眼から譲り受けたとされる
何か皆様の発見になったのであれば、幸いです。
ご意見、ご指摘等お気軽にコメントください!
(参考)
【東洋哲学史①】春秋戦国時代の思想家たち「諸子百家」 – YouTube「中田敦彦のYouTube大学」
「諸子百家」の意味とは?流派の一覧とそれぞれの思想も紹介 | TRANS.Biz (trans-suite.jp)