オセアニアの地理について最近調べました。
オセアニアの地理についてオーストラリアを中心に説明するのに加えて、その時に印象的だった「カンニバル・スープ」からオーストラリアの多文化共生についてご紹介します。
【オセアニアの地理的特徴】
世界を大きく6つの地域に分けた「六大洲」のひとつ
おおよその位置は太平洋の南半分で、オーストラリアやニュージーランドが有名
※六大洲:アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア
c.f.六大陸:ユーラシア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸
c.f.五大洋:太平洋、大西洋、インド洋、南極海、北極海
→大航海時代の「七つの海を股にかけ…」の「七つの海」は太平洋、大西洋、インド洋、地中海、カリブ海、メキシコ湾、北極海と言われる
※「オセアニアOceania」と「大洋ocean」は同語源(ギリシア語の海okeanos)
①オセアニアの区分
ポリネシア:「ポリ:多くの」+「ネソス:島」
(ニュージーランド、ツバル、ハワイ州、チリ領イースター島など)
メラネシア:「メラス:黒い」+「ネソス:島」
(パプアニューギニア、フィジー、バヌアツなど)
ミクロネシア:「ミクロス:小さな」+「ネソス:島」
(ミクロネシア、パラオ、ナウル、キリバス)
覚え方:「ポメラニアンだ、見て!」
ニュージーランドから日本にかけて直線を引いたときに、線上にある地域を順に
②オーストラリアの地理
「お手製のボートでオーストラリアに行こう」
輸出量1位:鉄鉱石・2位:石炭(3位は天然ガス)2020年時点
ボーキサイトの産出量が世界トップクラス
「大賛成!グレートだね!」
大鑽井盆地(中東部の大きな盆地)、グレートバリアリーフ、グレートディバイディング山脈(ディバイディングは「分ける」、山脈の東西で土地利用が違う)
「シメに首都に行きたいんだけど、どこだっけ?」
主要な都市は、シドニーとメルボルン(2つの都市の間にキャンベラ)
「キャンべんしてくれよ。ウルルと来たぜ」
首都は計画都市のキャンベラ、オーストラリアの世界遺産であるウルル(エアーズロック)
(参考)
NHKのHPで、オーストラリア・ニュージーランドの応援動画が視聴できる
https://www.nhk.or.jp/school/cheer/oceania/
オーストラリア:牧畜が有名な感じがある
ニュージーランド:英語っぽくないマオリの言葉が多い印象
覚え方:AustraliaのAはアボリジニ、New ZealandのNに一本足すとマオリ族のM
タトゥーやハカなど中学地理で勉強する内容はマオリ族の文化
【オーストラリアの文化】
オーストラリアは移民国家である
→問題としてイスラム教徒の排斥や白豪主義がある
エスニックジョークに下のようなものがある
有色人種の流入によって、白豪主義が推し進められた―――
白人のオーストラリアの首相「移民をすべて追い出してやる!!」
先住民が白人たちに言った「ようやくか…。いつ出て行ってくれるんだ?」
皆さんは「カンニバル・スープ」をご存じだろうか?
※カニバリズムとは「食人文化」を指し、先住民風の地元の方が観光客を煮込んでいるようなセットで写真を撮影する(著作権上、画像を貼れませんでした。『オセアニアで学ぶ人類学』第15章「観光」をご覧ください)
・移民国家であるオーストラリアの理想は「多文化共生」
しかし「カンニバル・スープ」は彼らの文化ではないと彼らは語った。「先住民は野蛮」という偏見をサービスに活用している。
「カンニバル・スープ」は多文化共生の良い例だと感じますか?
筆者の友人の返答
⊕暮らしのためになる
⊕本人たちの意思で行っているなら認められる
⊖嘘はダメ
⊖違う体験でも文化を伝えることができるのに嘘を吐く必要が無い
→「本当じゃない」と歴史を伝えられば良い
【カンニバル・スープの詳細】
・オセアニア:アネイチュム島の観光について
福井(2020)が2009年ヴァヌアツ・アネイチュム島で撮影した写真に「カンニバル・スープ」が写る(写真15-3)。
福井(2020)が島民に「これはあなた達の文化なのか?」と質問したら、明確に「こんなものは私達の文化ではない。演じているだけだ」と否定した(『オセアニアで学ぶ人類学』236貢)。
(文化の捏造の要因)
・本来あった文化や歴史の拡大
①マオリ族の首狩りの慣習:マオリは部族ごとに入れ墨が違い、倒した敵の首を干し首にし、「〇〇族の入れ墨のある者を倒した!」とアピールしていた(『ヨーロッパから見た太平洋』山川出版)
②小さな島での飢饉時における事件
e.g.)イースター島で食料が無くなった時に人肉を食べた
③祭儀における生贄
・欧州人から見た「楽園」、「野蛮」のイメージが定着してしまった
→映画(デニス・オルーク『カンニバル・ツアーズ』1987)や絵画、手紙に描かれた言葉の通じない恐ろしい部族のイメージが定着した
参考文献:
梅崎昌裕・風間計博 編(2020)『オセアニアで学ぶ人類学』昭和堂(第15章「観光」福井栄二郎)
東賢太郎(2020)『観光を再考する、観光の人類学を再構想する』民博通信Online『合同研究:グローバル化時代における「観光化/脱-観光化」のダイナミズムに関する研究(2019~2021年度)』