学校で教えていることは社会で役に立たない、「キレイごと」に聞こえるという義務教育に対する不信感を私は抱いたことがあります。
実生活と学校道徳にはズレがあることは義務教育の決まりを見てみると、学校道徳の目指す「公民」の考え方から読み取ることができます。
義務教育を経験する日本人がどのようになるべきか、法律にある文章から読み取りましょう。
【義務教育の基本の条文】
教育基本法 第4条(義務教育)
「国民は、その保護する子女に、九年の義務教育を受けさせる義務を負う。」
憲法第26条 第2項
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」
→国や日本国民は「教育を受けさせる義務」を負い、すべての子どもは義務教育を受けるはずである
【少し蛇足:義務を負う者は?】
子女の保護について
民法820条「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」
監護とは、
ある程度にわたって継続的に保護が必要なものがその福祉(健全な社会人と成長すること)に適う日常生活を送れるよう配慮すること
→ふつうは両親が親権者であり、監護者である
※親権=財産管理権+監護権(身上監護権)
親権者を父親、監護権者を母親とすると離婚後も父親は子育てに参加している意識を持ちやすくなり、養育費の不払い率を下げることにつながる
【義務教育の目的とは】
昭和39年2月26日 最高裁判所 大法廷判決
(教育を受けさせる義務を課すのは)「単に普通教育が民主国家の存立、繁栄のために必要であるという国家的要請だけによるものではなくして、それがまた子女の人格の完成に必要欠くべからざるものであるということから、親の本来有している子女を教育すべき義務を完うせしめんとする趣旨に出たものである」
つまり、義務教育の目的は以下の2点にまとめられる。
①「日本の繁栄に寄与する人材」を育てるという国家的要請のため
②子どもたちの人格の完成のため
⇒「日本のため」、「その人自身のため」という2つの観点があるので、道徳教育や公民教育と実生活や個人の自由との間に矛盾がしばしば生じてしまう