お久しぶりです、細田です。
「デジャヴュ」って語感がすごくいいですよね。何か分からないですけど、使いたくなりますよね。
ということに関係があるようなないような「リミナルスペース」について今回はご紹介しようと思います。ジェメヴ!
【建築学タームとしてのリミナルスペース】
建築学用語で、人間をある場所から別の場所へ移動させることを目的とする空間を指す。
(リミナルスペースの例)
・廊下
・階段
・道路
・待合室
・駐車場
・空港やビルのロビー
2つの異なる場所を結び付ける中間地帯で、どこにでもあるが、どこか不気味な雰囲気を感じることからNo man’s land(所有者のいない土地、無人地帯)と表現されることもある。
英語に自信のある方はこちらをご覧ください。
イリノイ大学建築学部准教授のスチュワート・ヒックス氏の動画
【ネットミームとしてのリミナルスペース】
英語圏のインターネットで流行したクリーピーパスタのひとつである「The Backrooms」の舞台として「誰もおらず、見たことはあるんだけど何か不安をかきたてる場所」という意味でネットミーム化した。
よくわからん文章を出すな!と私が読者だったら思います。
申し訳ございません。解説します。
①クリーピーパスタはネットの怖い話において、同じような話を繰り返していることを非難し、創作でこれまでにない怖い話や都市伝説をつくり、まとめたもの。コピーアンドペースト(切り取り・貼り付け)をもじって命名された。
例:「明日の犠牲者」、「日本国尊厳維持局」、「スレンダーマン」、「SCP財団」など
②ネットミームはいわゆるテンプレネタであり、「ある文化の中で人から人へと拡がっていくアイデア・行動・スタイル・慣習」のこと。
つまり!
海外で流行した創作の都市伝説「バックルームス」で採りあげられたちょっと不気味な場所、またその画像のことをリミナルスペースと呼ぶようになった
元の意味のリミナルスペースとは離れるが、以下のものがリミナルスペースと呼ばれる
・夜の学校
・誰もいない映画館
・早朝の砂浜
・深夜の信号機のある交差点
The Backroomsの動画
バックルームスの最初期の動画(撮影中にバックルームスに転移してしまい、謎の怪物に襲われる場面)(バックルームスに迷い込んでしまった人達の残した動画という設定のFound Footage系と呼ばれるジャンル)
※若干のホラー注意!
サリーのお部屋というチャンネルの解説動画(初級者向けにいくつかの動画がある)
【リミナルスペースと民俗学】
インターネットミームとしてのリミナルスペースは以下のように表現される
「すこし不気味な、それでいてどこかで見たことのあるような感覚にとらわれる空間」
「リミナルLiminalとは”境界”を意味し、“懐かしさ”と“未知”、“無人”と“人の気配”の相反するものかたちが同居する空間」
民俗学者の宮田登の妖怪のトポロジー(場所の論理、本来は位相幾何学)において、
「周縁・境界で怪異が起こる」とされる。
怪異の起こる周縁・境界の空間とリミナルスペースの概念は非常に接近している。
時代と場所を超えて指摘される「周縁・境界で怪異が起こる」という命題は人間文化一般の法則と言えるかもしれない。
(周縁・境界の例)
辻、橋、盛り場、刑場、墓場など
また神社や森(鎮守の森)なども人間の世界と神様の世界の境界である
リミナルスペースは現代のわれわれの身近にある周縁・境界と言える。
日常と異界の間にある境界の空間を人間は未知である、恐ろしいと思うと同時に何か到達しえない神秘を感じるのかもしれません。
反対に秘されているからこそ、神聖であると感じるのかもしれません。
(参考)
fnmnl『【コラム】Liminal Spaceとは何か』
https://fnmnl.tv/2021/11/16/139203
ニコニコ大百科『リミナルスペース』
https://dic.nicovideo.jp/a/liminal%20space
【蛇足】
リミナルと聞くとサブリミナル効果が頭に浮かぶ
最近はスプラリミナルというものもあるらしい
Tada Notes『スプラリミナル効果とは – 「サブリミナル」と「スプラリミナル」の違い』https://9oo.co/psychology/supurariminaru-effect/