いろんな方の話をお聞きすると、「セグウェイを街中で見た」や「自宅で電気自動車の充電ができる」など、10年前には夢物語だった技術がいくつも実現しているように感じます。
日本の未来はなんというか、ウォウ、ウォウな感じがしますね…。
ということで、今回のブログではラブマシーン……ではなく、人々の倫理観を問う『モラルマシーン』というサイトについて、その思考実験・研究が役に立つと言われている分野である自動運転の技術とともにご紹介します。
【自動運転の必要性】
「クルマによる死亡事故の多くはヒューマンエラーによります。つまり死亡事故ゼロを目指す上で、クルマ自体を自動制御にしていく完全自動運転の実現が不可欠」
dSPACE宇野氏
(『加速する自動運転の開発競争』日経BP SPECIAL
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/20/dSPACE2020/vol1_1/)
様々な技術の進展により、我々の安全な生活を支える自動運転は実現可能に近づいています。
自動運転技術の基礎となる運転補助技術(運転支援技術)について、国土交通省の資料で紹介されていたものを羅列します。
- カメラ・レーダーによる車の周囲の確認
- 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
- レーンキーアシスト(車線を超えない)
- ACC(走行速度、車間距離を制御する)
- ESC(横滑りに対応する)
- ふらつき警報(車線逸脱警報)
- 駐車支援システム
- ペダル踏み間違い時加速抑制装置
- 先進ライト(ヘッドライトの強さを切り替える)
私はごく稀に車の運転をしますが、バックで駐車するときに運転席から見えない場所をモニターに映してくれたり、すこし危険な運転をしてしまったときにピピッと警告してくれて、運転をよくサポートしてくれていると感じます。
【自動車の完全自動化にむけて】
国土交通省は完全な自動運転が実現するまでのレベルを以下の2段階に分けています。
①ドライバーによる監視
②システムによる監視
現在の公道では、人間のドライバーが存在するレベル1が主流ですが、日産のコマーシャルなどではレベル2の完全な自動運転の自動車が紹介されています。
※手放し運転は、ドライバーが運転責任を負う点でレベル1であるとも言える
【完全自動運転になった際の倫理的判断】
自動車の事故において、完璧に正解である行動はないかもしれません。
もし右に避けてもAさんに衝突してしまうし、左に避けてもBさんに衝突してしまうという場合、どのような基準で行動すべきでしょうか?
自動車事故に関する判断について、単純化して、思考実験としてまとめられたものが「トロッコ問題」です。
トロッコ問題の状況設定
「線路を走っていたトロッコが制御不能になった。このままでは前方の線路の上にいる5人の作業員がトロッコに轢き殺されてしまう。作業員たちはトロッコに気付いておらず、避ける間もないだろう。この時、私は分岐器のすぐ近くにいるので、2つの行動を選ぶことができる。」
①トロッコの進路を切替えて、5人を救う。
進路を変えた先の線路上にも1人作業員がおり、自身の選択によって、この作業員は轢き殺されてしまうだろう。
②分岐器を操作しない。
『トロッコ問題』ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%B3%E5%95%8F%E9%A1%8C
【『モラルマシン』研究】
このブログでは、倫理的にどのような判断基準が正しいかという議論には踏み入らず、どのような判断基準があって、人々がどのような優先順位を持っているかを研究するための『MORAL MACHINE』というサイトをご紹介します。
下記のURLから『MORAL MACHINE』のサイトを閲覧できます。
https://www.moralmachine.net/hl/ja
『MORAL MACHINE』のサイトでは簡単なテストから自身の価値観を診断することができ、また世界中の人のテスト結果を国別にまとめたものが紹介されています。
年齢、人数、性別、体型、経済状況、遵法精神(ルールを守っているか)、種(ヒトか犬か)など皆さんはどの項目を価値基準において、行動するでしょうか?
技術革新が目まぐるしい時代に「その技術が一般で使われるようになったときに、どのようなものが求められるか」を『MORAL MACHINE』をきっかけに考えてみてください。
【参考資料】
『運転支援技術、自動運転の開発と普及』国土交通省自動車局(令和3年8月)
https://www.mlit.go.jp/common/001213451.pdf
『Self-driving car dilemmas reveal that moral choices are not universal』nature(2018年10月24日)(『MORAL MACHINE』について紹介されています)
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07135-0
『#016 ニコ生岡田斗司夫ゼミ「タブー完全無視の一問一答地獄」~ブロマガから領土問題まで~201209』岡田斗司夫
https://www.youtube.com/watch?v=1VPLYzloUCY&t=0s
(1時間30分あたりから、SF小説に触れることで未知の技術を想像することができると紹介されています。完全な自動運転という未知の技術についてどのように考えるかという本記事の問いに近いお話であると感じ、紹介しました。)